「ホワイト国」除外で韓日関係破局の懸念も 文大統領に再び試練
【ソウル聯合ニュース】日本政府が2日、輸出管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。先月、半導体材料など3品目の対韓輸出規制を強化したのに続く経済報復の第2弾で、韓日関係が破局に向かう懸念が広がっており、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は再び重大な外交試練を迎えた。
文大統領はこれまで、日本の輸出規制により韓国企業に被害が出れば「必要な対応をせざるを得ない」と警告してきたため、強い対抗カードを切るとの見方がある一方、今回のことは両国の通商問題にとどまらず北東アジアの安全保障にも影響を及ぼしかねないため、強硬対応一辺倒よりは対話を通じた外交的解決を模索すべきとの意見もある。
文大統領は国内的には、日本の措置が企業に与える影響を最小限に抑え、韓国産業の競争力強化に向けた妙手を打ち出さねばならないという難しい課題を抱えることになった。
◇当面は強硬対応 GSOMIAの破棄検討も?
文大統領はこの日午後に臨時閣議を開いて国民へのメッセージを発表する予定で、この中で日本を強く批判するとみられる。
政府内では、当面は強い対抗措置が必要だとする意見が出ている。文政権は日本の輸出規制措置を韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用訴訟に対する経済報復と位置付けているだけに、引く理由はないとの声も青瓦台(大統領府)や与党から聞かれる。
政府は日本を世界貿易機関(WTO)に提訴する構えとみられ、日本の商品やサービスに対し市場アクセスを制限し、関税を引き上げるなどの措置を検討するとの見方もある。
最も関心を集めるのは、文大統領が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長拒否というカードを検討するかどうかだ。韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は1日、タイ・バンコクで日本の河野太郎外相と会談後、ホワイト国から韓国が除外されれば両国の安全保障協力の枠組みを検討せざるを得ないとの立場を示した。
軍事情報包括保護協定は韓日が北朝鮮の核・ミサイル関連情報などを共有するために締結したもので、効力は1年。今月24日までに一方が破棄を通告しなければ自動的に延長される。
韓国政府が延長拒否をちらつかせることで、延長の意向を示している日本との外交交渉の「てこ」として活用できるとの主張がある一方、朝鮮半島と北東アジアにおける平和体制の構築を最優先課題とみなしてきた文大統領としては、GSOMIAの扱いが韓米日の安保協力に与える影響を考慮せざるを得ないとも指摘される。
◇日本と水面下での対話努力を継続か
このように、韓国政府は当面は日本に強力な対抗姿勢を見せるとの観測が多いものの、文大統領は引き続き対話を通じた解決を最優先に外交的な解決方法の模索に努めるとみられる。
米国による仲裁を期待する一方で、日本政府とも水面下で接触を試みる可能性が指摘されており、その場合は対立の起爆剤となった強制徴用被害者への賠償問題でどう溝を埋めていくかが鍵になる見通しだ。
韓国政府は先に、韓日両国企業の自発的な拠出金で財源をつくり、大法院の確定判決を受けた徴用被害者に慰謝料を支払う案を提案したが、日本はこれを拒否している。両国企業と韓国政府も加わって財源をつくる案などをはじめ、別の案が両国の間で議論されるかどうかも関心を集める。
◇産業の競争力強化に尽力 政界の超党派協力欠かせず
文大統領は、国内的には貿易における対日依存度を下げ、韓国産業の競争力強化に力を入れる姿勢を示している。今回のことを逆に韓国経済の体質を改善する機会とみなす考えだ。
先月15日、文大統領は「(企業に)必要なあらゆる支援を惜しまない」と約束している。
今月4日に予定される政府、与党、青瓦台の会議でも、半導体だけでなく自動車や機械などを含む幅広い産業分野を対象にした予算・税制・制度・立法支援など、中長期の対策が扱われる見通しだ。
こうした国内産業の体質改善に向け、青瓦台は与野党の超党派の協力が重要だと指摘する。制度改善や予算支援で企業の競争力強化を後押しするには、国会の支援が欠かせないためだ。文大統領も、日本の輸出規制への対応予算を組み込んだ補正予算案の円滑な処理をはじめ、国益のための与野党協力を訴えるとみられる。
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