文大統領 施政方針演説で「強い安保」強調=国防予算案7%増
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は22日、国会で2020年度(1~12月)予算案に関する施政方針演説を行い、「強い安全保障」の必要性を強調しながら、50兆ウォン(約4兆6000億円)を超える来年度国防予算案を策定したと述べた。
政府は20年度の国防予算案として今年に比べ7.4%増の50兆1527億ウォンを策定し、国会に提出した。削減なく国会審議を通過すれば、国防予算は初めて50兆ウォンを超えることになる。日本の防衛省は来年度の防衛予算として5兆3000億円超を概算要求している。
20年度国防予算案のうち、防衛力改善費は19年度比8.6%増の16兆6915億ウォン。文在寅政権発足後、防衛力改善費の平均増加率は11%で、過去9年間の平均増加率5.3%の約2倍に上る。これにより、防衛力改善費が国防予算全体に占める割合は06年の防衛事業庁の開庁以来で最も高い33.3%となる。
政府がこうした規模で国防予算案を策定した背景は、文大統領の施政方針演説に表れている。
文大統領は演説で「われわれの運命を他人任せにせず、自ら決定するために必ず必要なものが強い安保だ」とし、「現在われわれの安保の重点は対北抑止力だが、いつか(南北)統一されるとしても列強の中で堂々と主権国家になるためには強い安保能力を備えなければならない」と力説した。
北朝鮮の核と大量破壊兵器(WMD)の脅威に対し対応・抑止する戦力を持つとともに、急速に軍事力を拡大する朝鮮半島周辺国の勢いに押されない国防力を備えるという意図とみられる。
このため、韓国政府は核・大量破壊兵器の脅威への対応に6兆2149億ウォン、朝鮮半島の監視・偵察、指揮統制基盤戦力の構築に3459億ウォン、有事作戦統制権の米軍から韓国軍への移管に向けた韓国軍の軍事能力補強に1兆9470億ウォンなどを計上。特に、核・大量破壊兵器対応予算は今年に比べ22.6%(1兆1000億ウォン)増やした。
来年度国防予算のうち、3000トン級潜水艦「張保皐3」の建造予算を6596億ウォン(3304億ウォン増額)、軍事偵察衛星を2345億ウォン(266億ウォン増額)に拡大したことについて、文大統領は「次世代国産潜水艦、偵察衛星など中核防衛システムを補強する」と説明した。
政府はこれに加え、多目的大型輸送艦建造に必要な中核技術の開発に271億ウォンを充てた。垂直離着陸が可能なステルス戦闘機F35Bを搭載できる多目的大型輸送艦(3万トン軽空母級)の国内建造を目指し、概念設計に着手する。
このほか、海軍が先ごろ代表的な戦略兵器である原子力潜水艦を取得する構想を明らかにしたことも、文大統領の「主権国家」発言と関連があるとの観測も出ている。
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