東京五輪でライバルの壁越えられるか 在日3世の柔道・安昌林
【ソウル聯合ニュース】在日韓国人3世で柔道男子73キロ級の韓国エース、安昌林(アン・チャンリム)=25=は、2020年東京五輪で日本のライバル・大野将平という「壁」に再び挑む。
18年のジャカルタ・アジア大会の決勝を終え、表彰台に立った安はとめどなく涙を流し、しばらく顔を上げなかった。
男子73キロ級で世界トップクラスの実力を誇る安は唯一、大野に弱かった。ジャカルタ・アジア大会の決勝まで、大野との5回の勝負に全て敗れている。
この決勝は特に惜しかった。試合は規定の4分間で決まらず、延長戦は7分を超えた。安は大きく押されることなく、しつように攻めた。
問題は審判の判定だった。安は大野の内股をよく防いだが、着地でひじが畳に触れたという釈然としない判定で敗北した。
安はこのほど、聯合ニュースに「ジャカルタでの記憶は消して久しい。東京五輪に備え、大野についてたくさん研究した」と語った。一方で、大野を気にかけすぎてもいけないとし、まずは自分がうまくできることを最大限に上達させていると話した。さまざまな技の練習に加え、延長戦で押されないよう、体力トレーニングを徹底的に行っているという。
東京五輪を待っている理由はほかにもある。在日韓国人3世で、日本で柔道を習った安にとって、東京五輪は特別な舞台だ。
子どものころは日本で有望選手に挙げられた。筑波大2年生だった13年には全日本学生柔道体重別選手権の73キロ級で優勝し、日本柔道の次世代エースと期待された。
だが、日本代表チームの帰化要請を断り、14年に韓国へ渡ると韓国の柔道選手として新たなスタートを切った。
安は「今回の五輪は意味のある舞台。五輪の競技が行われる東京の日本武道館は、日本の全国大会で初優勝を収めた場所だ」と話す。だが、感情が先走れば試合を台無しにしかねず、他の大会のように平常心で準備しようと心がけているという。
14年に韓国の国内代表選抜戦で3位になり、初めて代表入り。15年の世界選手権で銅メダルを手にした。16年のリオデジャネイロ五輪では金メダルが期待されたが、経験不足から3回戦で敗退し、苦杯をなめた。
だが、へこたれることはなかった。翌17年の世界選手権で再び銅メダルを獲得し、18年には世界選手権で初優勝を果たした。
昨年は頸椎のヘルニアで大会を欠場した。最近では足首の負傷も重なった。安は「最近はコンディションが良くなくて苦労した。頸椎のヘルニアはだいぶ良くなった」と話す。今は無理をしないようにトレーニングしているという。「東京五輪までにしっかり準備して、応援してくれる皆さんにメダルで応えたい」と意欲を語った。
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