与党圧勝で対北朝鮮政策に期待 「平和プロセス一貫して推進」=韓国
【ソウル聯合ニュース】15日に実施された韓国総選挙で、与党「共に民主党」が過半数の議席を獲得する圧勝を収めたことで、1年以上足踏み状態が続く南北関係にどのような影響を及ぼすか注目される。
政府の内外では、今回の選挙が文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する「中間評価」の性格が強かったことから、与党の大勝によりこの3年間推進してきた政府の対北朝鮮政策の基調も事実上「再信任」を受けたとの評価が少なくない。
昨年2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わってから南北関係は停滞しているが、国民は今回の選挙で対話・協力に焦点を当てた政府の対北朝鮮政策に再び力を与えたと受け止められる。
韓国・北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、今回の総選挙では北朝鮮に関する争点や理念的論争がなかったとしながら、「文在寅政権が朝鮮半島平和プロセスを引き続き推進するのに肯定的な条件が整った」と評価した。
これにより、新型コロナウイルスへの対応の中で水面下に隠れていた保健・防疫協力を含む対北朝鮮協力事業が近いうちに再び議論のテーブルに乗るとの観測も出ている。
統一部は、先月初めに発表した主要業務推進計画で▼南北軍事境界線を挟む非武装地帯(DMZ)の国際平和地帯化▼北朝鮮への個人観光▼交流・協力の多角化――など、南北間の接触を拡大するための方策を推進すると発表。だが、新型コロナウイルスの急速な感染拡大により詳細な計画の発表などは全面的に中止された。
与党が過半数の議席を得て強力な立法活動が可能になり、積極的な対北朝鮮政策推進に向け政府の活動の幅がさらに拡大したとの見方も出ている。
国会では南北関係関連の法案が多数発議されたが、主な法案の多くが与野党間の対立の中でうやむやになっていた。
特に、政府が期待をかけてきた「統一経済特区法」や「北韓(北朝鮮)離脱住民政策支援法」、「南北交流・協力法」改正案などは小委員会も通過できなかった。これらの法案は、現在の国会議員の任期が終わる来月末までに処理されなければ自動的に廃案となる。
慶南大極東問題研究所の林乙出(イム・ウルチュル)教授は「現在の南北関係の冷え込みは、基本的に朝米(米朝)間の非核化交渉が膠着(こうちゃく)局面にある結果でもあるが、対北政策を強力に推進できる国会レベルでの支持と協力が不足しているためでもある」と述べた。
一方で政府が今回の総選挙の結果を基に再び対北朝鮮政策を推進できたとしても、冷え込んだ南北関係に画期的な突破口が開けるかどうかは未知数だとの観測も少なくない。
南北協力事業の推進に関して、米国など国際社会を説得することは一筋縄ではいかない上、新型コロナウイルスによる雇用・経済危機の中で政府がすぐに対北朝鮮政策に力を振り分けるのは容易ではないとの指摘だ。
最大の問題は、やはり北朝鮮の反応だ。
個人観光など、政府が今年打ち出した対北朝鮮政策は南北間の接触拡大により南北関係に突破口を開くことに焦点を合わせているが、北朝鮮はまだこうした協力事業に前向きな反応を見せていない。
北朝鮮の視線は依然として南北関係よりも米朝関係に注がれていることから、米大統領選が終わる年末までは状況の変化を注視しながら慎重な対応を続ける可能性が少なくないとの見立てもある。
一方、統一部の当局者は今回の総選挙の結果に関し、文大統領が米朝対話と南北協力に向けた現実的方策を強調してきた点を挙げ、「政府はこうした基調の上で朝鮮半島平和プロセスを一貫して推進するよう努力する」と述べた。
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