渦中の慰安婦支援団体 ウガンダ「金福童センター」事業も物議=韓国
【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦被害者を支援する韓国市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)がずさんな会計処理や施設の売買を巡る疑惑で物議を醸している中、同団体が重点事業としてきたアフリカ・ウガンダでの「金福童センター」設立事業も推進経緯が議論を呼んでいる。
正義連などによると、金福童センターの設立事業は旧日本軍の慰安婦被害者で女性人権運動家としても活動し、昨年1月に亡くなった故金福童(キム・ボクトン)さんをたたえ、世界に人権と平和のメッセージを発信する目的で同団体が昨年から取り組んできた。
今年4月の総選挙で与党「共に民主党」の比例政党から当選した尹美香(ユン・ミヒャン)氏は、正義連の理事長を務めていた昨年6月、ウガンダでの金福童センター建設計画を発表し、募金活動を開始した。
正義連は当初、募金活動で2億ウォン(約1700万円)を集め、戦時性暴力被害が発生したウガンダ北部のグルに金福童センターを建てる計画だった。センターには金福童さんの追悼施設、旧日本軍の慰安婦問題に関する歴史館、ウガンダ内戦歴史館、学校、共同耕作地などを造成するとしていた。
現地での設立事業はウガンダの市民団体「ゴールデン・ウィメン・ビジョン・イン・ウガンダ」(GWVU)が主管することになっていた。
正義連は約1200万ウォンを投じて現地に敷地も購入したが、ウガンダでの金福童センターは設立はその後、白紙化した。
着工できなかった経緯について、正義連側は「ウガンダ政府が昨年11月の面談で『日本』という単語と『金福童』という名前が入ったことを問題視し、現地団体代表の身辺を脅かす状況が発生した」と説明。その後にウガンダでのセンター設立事業の中断を決め、昨年12月の運営委員会でセンターの設立地をウガンダから米ワシントンに変更する計画案を話し合ったと伝えた。今年1月には敷地を現地の団体に寄付することを決めたという。事業の推進を発表してから約6カ月で白紙化したことになる。
今年1月、尹美香氏は聯合ニュースとのインタビューで「グル市長が(被害者の)存命者代表に電話をかけ『なぜ日本に関する問題をウガンダに持ち込んで問題を生じさせるのか』と威嚇した」などと述べ、計画を撤回したことを明らかにしていた。
正義連の主張通りなら、ウガンダの政府、自治体との最終的な合意もないまま、センターを設立すると言って募金を開始したことになる。
こうした中、あるメディアは今月20日、GWVUの代表が電子メールによるインタビューで「金福童センターの設立に最初から反対していた。設立のための資金は全く受け取っていない。敷地の購入は私たちが自ら行った」と主張したと報じた。
だがインタビューでの主張とは異なり、同代表は昨年6月に来韓し、慰安婦問題の解決を求めてソウルの日本大使館前で開催している定例の「水曜集会」に参加。慰安婦被害者の吉元玉(キル・ウォンオク)さんから「ウガンダ金福童センター設立基金」として500万ウォンの寄付を直接受け取り、感謝の意を伝えていた。
正義連はウガンダでの金福童センター設立が白紙化した後、米ワシントンにセンターを設けることを決め、国連が定める「女性に対する暴力撤廃の国際デー」の今年11月25日に開所することを目指して事業を再推進していた。
だが、正義連は今月19日に説明資料を出し、「今年2月、事業推進のため米国の現地を訪問しようとしたが、新型コロナウイルスの影響で敷地探しがストップし、今年11月25日に計画していた開所式も無期限延期となった」と明らかにした。
今年初め、正義連は米国での金福童センター設立計画を発表した際、敷地購入や展示空間の造成などに総額20億ウォン程度が必要になるとの試算を示した。だが、団体側によるとセンター設立のために集まった寄付金は2019年決算に基づくと約4380万ウォンで、予想される造成費用の約2.2%にとどまる。
寄付金不足や新型コロナの感染拡大に加え、正義連や尹美香氏に絡むさまざまな疑惑提起も重なり、金福童センターの設立は当面、順調に進みそうにない。
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