サムスン 経営トップの逮捕請求棄却に安堵=「最悪の事態は免れた」
【ソウル聯合ニュース】韓国のサムスングループ経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(51)に対する検察の逮捕状請求が9日、棄却されたことを受け、サムスングループは「身柄を拘束されない状態で真実の解明に臨めることになり、幸い」とコメントした。逮捕状が発付されて身柄を拘束された場合はグループ経営への支障が懸念されるため、この日の請求棄却にグループ内には「ひとまず最悪の事態は回避した」と安堵(あんど)の声が広がった。だが、検察による逮捕状の再請求、あるいは起訴の可能性もあり、安心できない状況は当面続く。
検察は2015年のサムスン物産と第一毛織の合併と、その後のサムスンバイオロジクスの会計基準変更はいずれも李氏の安定的な経営権継承を目的に行われたもので、この際に粉飾会計や株価操作などの違法行為が用いられたと判断し、4日に李氏とサムスングループの元幹部2人の逮捕状を請求した。これに対し地裁は9日、「被疑者を拘束する必要性が不十分」として請求を棄却した。
サムスングループは、李氏の経営活動に大きな支障はないとみている。起訴されて裁判を受けることになったとしても、ほぼ正常に近い形での業務の継続が可能で、国内外での投資計画なども引き続き推進できると見込む。
一方、検察が逮捕状を再請求する可能性もある。朴槿恵(パク・クネ)前大統領らへの贈賄事件では、2017年1月に李氏に対する逮捕状請求が棄却された後、再請求により令状が発付され、李氏は2月に逮捕。18年の二審で執行猶予付き判決となり釈放されるまで拘置所に収監された。公判は現在も続いている。
検察が逮捕状を再請求しなかったとしても、起訴する可能性はある。これに関し李氏らは今月2日、起訴の是非などについて検察外部の判断を仰ぎたいとして、市民らで構成される検察捜査審議委員会の招集を要請した。招集是非は11日に決まる見通し。
ただ、委員会が招集されて不起訴の意見が示されたとしても、検察はこれに従う義務はない。法曹界では、検察が一度逮捕状を請求した以上、起訴は避けられないという見方が支配的だ。
財界関係者は「サムスンとしては当分の間、司法リスクが引き続き存在する。裁判が長引いたり、(贈賄事件と経営権継承疑惑の)どちらか一方でも実刑が言い渡されたりする場合、経営に支障が生じることを覚悟するしかないだろう」との見解を述べた。
mgk1202@yna.co.kr