文大統領の解放記念日演説 韓日対話に焦点=「いつでも日本と向き合う」
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、ソウル市内で開かれた光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)記念式の演説で、強制徴用被害者への賠償を日本企業に命じた大法院(最高裁)判決を巡る韓日の対立について、「韓国政府はいつでも日本政府と向き合う準備ができている。今も協議の扉を開放している」と強調した。
韓国の大法院は同訴訟で、1965年の韓日請求権協定の有効性は認めながらも、個人の賠償請求権は消滅していないと判断。日本企業に賠償を命じた。
文大統領は演説で、原告4人のうち唯一存命の李春植(イ・チュンシク)さんが昨年7月に日本による韓国への輸出規制が始まると、「私のせいで大韓民国が損するのでは」と発言したことに触れ、「われわれは個人の尊厳を守ることが決して国に損を与えることにならないという事実を明らかにする」と述べた。
その上で、「一人の人権を尊重する韓国と日本の共同努力が両国国民間の友好と未来協力の橋渡しとなる」と話した。
強制徴用問題で両国が激しい対立を続ける中、被害者の人権尊重という普遍的な価値に対する共感を基に、対話の糸口を探っていこうと提案したものと受け止められる。
昨年の光復節の演説では日本による輸出規制強化を念頭に、日本を乗り越える「克日」のメッセージを強調したが、今年は強制徴用問題の解決に向けた韓日対話に焦点をあてた。
一方、「真の光復は平和で安全な統一朝鮮半島で一人一人の夢と生活が保障されること」と述べた。
家畜伝染病や新型コロナウイルス感染症、異常気象による集中豪雨などに言及しながら「南と北が生命と安全の共同体であることを改めて確認している」とし、北朝鮮との緊密な協力を通じ、平和・経済・生命の共同体の実現に向けた共生と平和のきっかけがつくられることを望むと述べた。
米朝、南北関係がいずれも芳しくない状況下で、北朝鮮との協力を通じ、停滞している朝鮮半島平和プロセスに活力を吹き込みたいとの意向を示した発言と受け止められる。
文大統領はさらに、「南北協力こそが、南北が共に核や軍事力の依存から脱却できる最高の安保政策」と強調した。
韓国で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることについては「依然として高い緊張感が求められる状況」とし、「政府はウイルスから国民の安全を守るまで全力を尽くす」と強調。国境と地域を封鎖せずに成し遂げた防疫の成功は経済の回復につながっていると説明した。
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