韓日関係の改善急ぐ文大統領 駐日大使交代で打開模索
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が23日、次期駐日大使に政界を代表する日本通である与党「共に民主党」前国会議員の姜昌一(カン・チャンイル)氏(68)を内定したことは、韓日関係の改善を急ぐ文大統領の強い意欲の表れと受け止められる。対北朝鮮制裁により南北関係に進展がみられない中、米大統領選で勝利した民主党のバイデン前副大統領は韓米日の協力関係を強調すると予想され、日本との関係改善の必要性はさらに高まっている。
◇文大統領 日本に次々融和のジェスチャー
文大統領は就任当時から、韓日関係において日本に過去の歴史問題を直視するよう求めると同時に、対話によって未来志向的関係を確立するため努力する「ツートラック」基調を堅持してきた。
文大統領としては、強硬な態度で一貫していた安倍晋三前首相とは異なり、対話に多少前向きな姿勢を示している菅義偉首相の就任を状況打開の契機にしようとしているようだ。
文氏と菅氏は9月に行った電話会談で、現在の関係を放置してはならないとの認識で一致した。
文大統領は今月14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(韓中日)首脳会議で菅首相の名前を挙げて「お会いできてうれしい」と呼びかけた。
これに先立ち、韓国情報機関・国家情報院の朴智元(パク・チウォン)院長と超党派の国会議員でつくる韓日議員連盟の金振杓(キム・ジンピョ)会長がそれぞれ訪日。菅首相に対し、ソウルで年内に開催予定の韓中日首脳会談への出席や関係改善の可能性を打診した。
国家安保室第2次長を務めた現駐日大使の南官杓(ナム・グァンピョ)氏を姜氏に交代させることは、相次ぐ融和のジェスチャーに続き、新たな環境で対話の可能性を模索しようというシグナルと解釈される。
◇韓米日の協力重視 バイデン政権とも関係強化へ
来年1月に米バイデン新政権が発足することも、文大統領が駐日大使の交代によって韓日関係改善を急ぐ要因と考えられる。
外交関係者らの間では、バイデン政権がオバマ政権と同様に韓米日の協力を重要視するとの分析が支配的だ。中国と戦略的に競争する米国にとって、伝統的な韓米日3カ国の協力の重要性はさらに高まらざるを得ない。
文大統領にとっても、トランプ政権と築いてきた朝鮮半島平和プロセスの進展を後戻りさせず、発展的に進めていくためにはバイデン政権との協力が不可欠だ。
このため、韓日関係の改善に続いて韓米日の協力を強固にすることで、バイデン新政権とともに改めて朝鮮半島平和プロセスを前に進めようとする見通しだ。
◇南北関係改善の仲介役期待も 日本の出方は未知数
文大統領は1月の新年あいさつで、北朝鮮に対し今年開催予定だった東京五輪での南北合同チーム結成と合同入場を提案した。五輪は新型コロナウイルスの感染拡大により来年に延期されたが、この提案は依然として有効だ。
こうした提案は、東京五輪を2年前の平昌冬季五輪のように「朝鮮半島の春」をもたらすきっかけにするという強い意思の表れと分析される。
文大統領が韓日関係改善を急ぐのも、北朝鮮の協力を引き出すためには開催国である日本の意向が重要だとの判断が背景にあるとみられる。
2018年4月の南北首脳会談直後に日本に特使を派遣し、会談結果を共有したことも、朝鮮半島平和プロセスにおいてそれだけ日本の役割を重要視している証拠でもある。
問題は、こうした積極的な対話の意欲に菅氏がどの程度応じるかは未知数だという点だ。
菅氏は今月13日に金振杓氏と面会した際、韓中日首脳会談に合わせて訪韓を求められると、環境づくりが必要との考えを述べた。
両国関係を改善するためには最大の懸案である強制徴用問題に対する解決策を韓国側が提示すべきとの意味が込められているとみられ、韓日関係に対する菅氏の姿勢を前向きと評価するのは時期尚早だとの見方も出ている。
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